【どの地域でM&Aが活発?】地域別のM&Aの特徴とおすすめのM&A仲介会社

2023-05-06

どこの都道府県でM&Aが活発に行われているかご存知でしょうか?東京でしょうか?大阪でしょうか?

また、各地域のM&Aでどのような特徴があるのでしょうか?

本記事では売り手の中小企業やオーナー社長がM&Aを検討する際に、ご自身の会社の地域にどのような特色があるのかを知っていただくために地域ごとにM&Aの分析をしています

統計データもいくつか紹介していますので、M&Aを含めた事業承継を検討する際にどのように考え、どのように行動すれば良いのか、本記事が少しでも参考になれば嬉しいです。

尚、2022年の都道府県別M&A件数ランキングは、

1位:東京(2位の5倍程度)

2位:大阪(3位の2倍以上)

3位:愛知

4位:神奈川

5位:福岡

6位:北海道

7位:埼玉

となっています。

(参照:M&A Onlineの記事

上位5位は毎年変化はなく、M&A仲介会社もM&Aの件数が多い都道府県に拠点を置く傾向にあります。一方、これらの地域以外にも事業承継に悩んでいるオーナーも多いと見られていますので、今後はより他の都道府県でのM&Aも増えると考えられます

目次

各地域のM&Aの動向について、中小企業の状況や後継者の有無の状況、各地域における業種別のM&Aの特徴などの観点からまとめています。各地域で状況が同様なポイント、大きく異なるポイントがありますので一つ一つ特徴を深堀りしていきます。

北海道地方の企業のM&A動向

北海道地方の特徴

北海道はご存知の通り都道府県の中で最大の面積となっており、日本全国の約22%を占めています。これはオーストラリアの国土や東北地方と茨城、栃木、埼玉を加えた広さとほぼ同等となっています。

北海道の中で総生産の金額が大きい業種としては、卸売・小売業、保険衛生・社会事業、不動産業、製造業、建設業、運輸・郵便業の順となっています。また、金額的には大きくありませんが、一次産業の農業、林業、水産業も広大土地や自然を活かして多くの企業が行っており注目もされています

北海道地方の中小企業の休業・廃業・解散

北海道でも中小企業の休業・廃業、解散が多くなっており社会課題の一つとなっています。2022年に北海道内で休業・廃業、解散した企業は個人事業主も含んで2,126件となっており、前年比22件増加しています。休廃業、解散を行った企業の代表者の年齢は平均で70.9歳となっており、経営者の高齢化や後継者不足によるものが多くなっています。休廃業、解散を行った企業の経営者の年齢が「70代」「80代以上」の割合が全体の61.5%を占めました。

休業・廃業、解散した企業の件数を業種別にみると「建設業」が最も多く、次いで旅館・ホテルなどを含む「サービス業」、「小売業」、「不動産業」、「製造業」という順になっています。北海道における総生産の金額が大きい業種の休業・廃業、解散が増えており、これは北海道における経済の縮小にも繋がる大きな社会課題となっています。また、後継者不足の解消に向けた動きが求められています。

北海道地方の中小企業の後継者不足

2022年における北海道の後継者不在率は68.1%で5年連続で不在率は低下していますが、引き続き全国で4番目の高さとなっています。
特に業種別でみると後継者不在率が高いのは「サービス業」、「建設業」、「小売業」となっています。

また、うまく後継者を見つけたら場合のケースとしては、同族継承が最も多く、内部昇格、M&A、外部招聘の順で、M&Aによる承継は20%弱となっています。

後継者不在率が高い中で同族継承や内部昇格が難しいケースも数多く出てくるので、M&Aもより積極的に検討していく必要があります

北海道地方のM&Aの特徴

この後継者不在の解決策として北海道でも幅広い業種において数多くのM&Aが行われています

道内企業同士以外のM&Aが半分程度を占めています。北海道内での事業規模拡大や北海道内での企業ネットワークを活かして道内企業のM&Aが大半を占めそうな印象もありますが、売り手企業側が北海道内の企業へ売却するのに対して情報漏洩の観点から避けたいという気持ちが強い傾向にあるのが背景にあります。

また、M&Aが数多く行われているとは言え、引き続き企業がM&Aに対する理解度が足りておらず消極的になっているという状況もみられています。M&Aや事業承継に対し気軽に相談できる相手が多くないというのも課題点となっています。

北海道内でM&Aが注目されているエリアとしては、北海道札幌市、北海道帯広市などがあります

北海道地方のM&Aが多い業種

業種としては総生産の金額が大きく、後継者が不在の業種が中心となっており、「建設業」や「サービス業」、「運輸・郵便業」、「農林水産業」などの業種でM&Aが活発に行われています

「建設業」では北海道の広大な土地における道路・高速道路、列車・新幹線などの工事が多いことや冬場の除雪作業のため規模の大きい会社が多いことがM&Aが多くなっている背景になっています。

「サービス業」では夏場の避暑地、冬場のスキー場などをはじめ、札幌、函館、小樽などの有名な観光地が多く存在しているためホテル業や観光業の企業が多く存在し、後継者不足となる中でM&Aをするというケース多く見られています。

「運輸・郵便業」では広大な敷地の中で物資や食材の運搬の必要性から数多くの中小企業が存在しており、M&Aで道外からも含めた運輸の規模拡大などのニーズが増えています。

「農林水産業」では北海道の農産物や水産物、加工などその周辺事業も含めた中小企業が多く存在し、また多くの企業が長年やってきたこともありM&Aで後継者や規模を拡大するニーズも多くなっています。

北海道地方でおすすめのM&A仲介会社一覧

北海道でM&Aを検討する際には以下のようなM&A仲介に依頼するのがおすすめです。全国的に支社を持っている仲介会社もありますが、北海道特有の特徴を理解している仲介会社にお願いするのも良いでしょう。

  • 北海道M&Aセントラルグループ(北海道特化のM&A仲介会社)
  • SBAパートナーズ(北海道特化のM&A仲介会社)
  • (北海道特化のM&A仲介会社)
  • 日本M&Aセンター(全国対応可能なM&A仲介会社)

>>各仲介会社の詳細はこちらから

参照:帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s230102_01.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s230202_01.html

東北地方の企業のM&A動向

東北地方の特徴

東北地方は青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県の6県で構成されています。

東北地方の中で総生産の金額が大きい業種としては、製造業、不動産業、卸売・小売業、建設業、サービス業、運輸・郵便業の順となっています。また、北海道と同様に一次産業の農業、林業、水産業も金額規模は大きくないですが全国的に存在感があります。

東北地方の中小企業の休業・廃業・解散

東北地方でも中小企業の休業・廃業、解散が多くなっています。2022年に東北6県で休業・廃業、解散した企業は2021年より340件減少したものの、個人事業主も含んで3,271件となっています。その中で黒字での休廃業は過去2番目に低い水準であったものの、51.5%を占めています。休廃業、解散を行った企業の代表者の年齢は平均で71.6歳であることに加え、ピーク年齢も75歳と前年から4歳上昇し過去最高を更新し、代表が高齢による休業・廃業、解散した企業が多くなっています

また、県別にみると福島県、宮城県、青森県、山形県の順で休業・廃業、解散した企業の件数が多くなっています。

休業・廃業、解散した企業の件数を業種別にみると建設業、サービス業、小売業、製造業、卸売業という順になっています。建設業は特に2011年の東日本大震災の復興関連の工事需要が一段落し、次の一手を考える必要がある中、年齢のことも考慮に入れ休業・廃業、解散を選択するケースもあるようです。

東北地方全体で高齢化が進んでおり、後継者不足の課題は今後も続いていくと考えられます。

東北地方の中小企業の後継者不足

2022年における東北地方の後継者不在率は56.7%と3年連続で改善しており、初めて60%を下回りました。しかし、そうは言ってもまだ50%を上回る状況であり、また、日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者うち50%超が将来廃業を予定しており、その中で後継者不足によるものが約3割に迫るなど後継者問題は大きな社会課題になっています

特に業種別でみると後継者不在率が高いのは「建設業」、「サービス業」、「小売業」となっています。

県別にみると、最も後継者不在率が高いのは秋田県(69.9%)で 全国 3 位、岩手県(61.2%、全国 13 位)、宮城県(60.3%、同 15 位)となり全国でも上位にくる県が多くなっています。

また、後継者を見つけた場合のケースとしては、「自身の子供」のケースが最も多く、家族経営の企業でも内部昇格、M&A、外部招聘により脱ファミリー化の動きが強まっているのが特徴です。

東北地方のM&Aの特徴

高齢化や後継者不在が続く東北地方ですが、他の地方対比だと解決策としてそれほどM&Aは行われてきておらず今後の積極的な活用が期待されています

M&Aについては買い手、売り手が近隣の都道府県同士である場合が多くなっています。宮城県の企業を中心にある程度規模の大きい企業も多いので、高齢化、後継者不足と相俟って潜在的にはM&Aがより活発的に行われてもおかしくない地域です。

東北地方内でM&Aが注目されているエリアとしては、宮城県仙台市などがあります

東北地方でおすすめのM&A仲介会社一覧

  • リライフ東北(東北特化のM&A仲介会社)
  • ストライク(全国対応可能なM&A仲介会社)
  • M&A総合研究所(全国対応可能なM&A仲介会社)

>>各仲介会社の詳細はこちらから

参照:帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s230102_10.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s221202_10.html

関東地方の企業のM&A動向

関東地方の特徴

関東地方は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、茨城県、栃木県の1都6県で構成されています。関東地方は日本の総人口の約35%、GDPの約40%が集中しており、経済において日本の中心になっています。中小企業も最も集まっているエリアです。特に1位の東京は2位の大阪の1.5倍程度の数の中小企業が存在しています。

関東地方の産業の構成比としては、第三次産業が約75%を占めています。業種別にみると、製造業、卸売・小売業、不動産業、サービス業、情報通信業、建設業の順に大きくなっています。

関東地方の中小企業の休業・廃業・解散

関東地方は中小企業の数も多いため、休廃業・解散する企業数も多くなっています。特に東京都では2022年に1万1,178件の休廃業・解散した企業がありました。これは全国の22%に該当します。また、その内黒字は50%程度でしたが、「資産超過」かつ「黒字」の企業は14%程度にとどまり業績悪化を背景にあきらめの休廃業・解散の動きが多くなっていたようです休廃業・解散した企業の平均年齢は70歳で、70代以上が全体の55%程度となり、東京と言えども高齢化、後継者不足の課題は同様となっています。

東京都の特徴としては、経営コンサルタント業や受託開発ソフトウェア業などのサービス業は起業がしやすく需要が多いため企業数も多くなっており、結果的に「サービス業」の休廃業件数が一番多くなっています。サービス業での起業のしやすさが、東京都の休廃業数が一番多くなっている背景となっています。尚、サービス業に次いで、卸売業、建設業、小売業、製造業の休廃業件数が多くなっています

また、県別にみると東京都が圧倒的に多く、次いで神奈川県、埼玉県、千葉県の順で休業・廃業、解散した企業の件数が多くなっています。

関東地方の中小企業の後継者不足

関東地方でも後継者不在の課題は深刻化しています。2022年で関東地方において最も後継者不在率が高いのは神奈川県で約66%となっており、全国6番目となっています。一方、最も低いのは茨城県で約43%で全国下から2番目となっています。

神奈川県において後継者不在率の高い業種は、建設業、サービス業、不動産業、小売業、卸売業の順となっています。

また、後継者を見つけた場合のケースとしては、内部昇格が多い一方、同族承継とM&A関連による事業承継がほぼ同水準の25%程度となっています。東京都と近いこともあり後継者を見つける手段としてM&Aが活用される場合が増えています。今後もM&Aが積極的に使われることが予想されています。

関東地方のM&Aの特徴

関東地方の中でも、東京都のM&Aの件数が圧倒的に多くなっています。2022年は2位の大阪府の5倍程度となりました。その他、2022年関東地方の都道府県は全国で神奈川県が4位、埼玉県が7位、千葉県が13位、茨城県が17位、群馬県が18位、栃木県が20位のM&A件数となりました(参照:ストライクのプレスリリース)。東京以外のどの県も全国的にM&Aが多く行われるのが関東地方の特徴となります。

また、東京に進出を狙う東京外の企業のM&A、東京の企業が全国展開のための都外の企業のM&Aと全国各地の企業とM&Aが行われるのも特徴となります。東京から移動時間の短い、神奈川県、埼玉県、千葉県も同様の傾向にあります。

また冒頭にも記載した東京都での業種が多い、第三次産業のサービス業、卸売業、小売業や建設業でM&Aが多く行われています

群馬県、栃木県、茨城県の北関東の3県については、製造業のM&Aが多くなっています

東京都内でM&Aが注目されているエリアとしては、東京都千代田区、東京都新宿区、東京都中野区、東京都文京区、東京都大田区、東京都練馬区などがあります

その他関東地方内でM&Aが注目されているエリアとしては、神奈川県横浜市、埼玉県草加市、埼玉県川口市、群馬県前橋市などがあります

関東地方でおすすめのM&A仲介会社一覧

東京のM&A仲介会社は数多くあり、その多くが関東圏内全般をカバーしていています。東京や関東地方のおすすめの仲介会社は個別にお問い合わせください。

>>当サイトで掲載しているM&A仲介会社

参照:帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s230101_98.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s221105_20.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p221105.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000034249.html

中部地方(北陸・東海地方)の企業のM&A動向

中部地方(北陸・東海地方)の特徴

中部地方は新潟県、富山県、石川県、福井県の北陸4県と、長野県、岐阜県、山梨県、愛知県、静岡県の5県の合計9県で構成されています。愛知県、岐阜県、三重県、静岡県の4県で東海地方とも言われます。

中部地方では愛知県にトヨタ自動車株式会社があるように自動車やそれに関連する部品や素材などの製造業や素材メーカーの中小企業が数多く存在します

北陸地方では古くから伝統工業が盛んな他、豊富な水や電力を背景に非鉄金属メーカー、工作機械メーカー、建設機械メーカー、金属加工業者などの企業が多数存在しています。

特に愛知県は大阪府を超える経済規模ともなっており、北陸・中部地方は全国で約20%程度の経済規模を占めています。

中部地方(北陸・東海地方)の中小企業の休業・廃業・解散

最も経済規模の大きい愛知県の2021年に休廃業・解散した企業の業種をみると、建設業、サービス業、製造業の順に多くなっています。休廃業・解散した企業の代表者の年代は70代が最多の39%程度で高齢化の問題は今後も引き続いていくとみられています。

中部地方(北陸・東海地方)の中小企業の後継者不足

中部地方でも後継者不在の課題は深刻化しています。2022年で 中部地方において最も後継者不在率が高いのは岐阜県で約63%となっており、全国9番目となっています。一方、最も低いのは三重県で約29%で、全国で最も低くなっています

古くから存在する中小企業も数多く存在するため、経営者の高齢化と共に後継者不在の課題は顕在化しているものの、東京や大阪の経済圏の間にあり、距離もそれほど遠くないことからM&Aもしやすい地域となっており後継者不足解決の糸口が見えやすい地域です。

中部地方(北陸・東海地方)のM&Aの特徴

中部地方では中小企業の数も多くM&Aが積極的に行われてきています。また、同地域内でのM&Aよりも、東京や大阪の企業を買ったり、売ったりと地域外との企業とのM&Aが活発に行われています

業種的には北陸・中部地方の中心となっている第二次産業の中小企業のM&Aが多いですが、サービス業のM&Aも多く見られています

また、愛知県では特に製造業関連のM&Aも活発に行われています。

中部地方内でM&Aが注目されているエリアとしては、愛知県名古屋市、静岡県静岡市、石川県金沢市などがあります

中部地方(北陸・東海地方)でおすすめのM&A仲介会社一覧

  • 名南M&A(愛知県に本社のあるM&A仲介会社)
  • アドバイザリー(愛知県に本社のあるM&A仲介会社)
  • フォーナレッジ(愛知県に本社のあるM&A仲介会社)
  • ユナイテッド・フロント・パートナーズ(静岡県に本社のあるM&A仲介会社)

>>各仲介会社の詳細はこちらから

参照:帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s220202_40.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230106.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p221105.pdf

近畿地方の企業のM&A動向

近畿地方の特徴

近畿地方は三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県の二府五県で構成されています。関東地方に次ぐ経済規模となっており、特に大阪、京都、兵庫の3府県が大半を占めています

近畿地方の特徴としては、第二次産業、第三次産業が盛んです原料や製品の輸送に便利な大阪湾の臨海部を中心に機械製造や化学工業、鉄鋼業、金属製品、電子部品といった製造業、歴史的に商人の町として卸・小売業やサービス業などの業種が盛んに行われており、周辺に関連する中小企業が多く存在しています

例えば、近畿地方で有名な大企業としてはキーエンス、武田薬品工業、任天堂、ダイキン工業があり、他にも村田製作所、日本電産、京セラなどの京都に本社を置く電子部品メーカーがあります。そして、各社に関連する中小企業も多くなっています。

近畿地方の中小企業の休業・廃業・解散

近畿地方の2022年に休廃業・解散した企業は7,084社、倒産した企業は1,578社ありました。休廃業・解散した企業は大阪で3,491社で約半分、次いで兵庫で1,647社となっています。休廃業・解散率を業種をみると、小売業、卸売業、サービス業が高い割合となっています

休廃業・解散した企業の代表者の平均年齢は71.2歳で6年連続で上昇したことに加え、70代以上は65%程度となっており他の地域同様高齢化の問題は今後も引き続いていくとみられています。

今後も新しい技術や消費者嗜好の変化などに対応できない企業や物価・エネルギー価格の高騰に耐えられない企業などが「休廃業・解散」を選択する可能性は高く、企業数も更に増加していくと考えられています。

近畿地方の中小企業の後継者不足

近畿地方でも後継者不在の課題はありますが、他の地域と比べると後継者不在率の改善が見られています。2022年の近畿地方の後継者不在率は53.6%となっており、2021年対比で8%程度改善しています。滋賀県が最も高く57.7%、和歌山県が最も低く46.2%と全府県で60%を下回っています。

一つの背景としては、M&Aや外部招聘など第三者への承継が年々増えていることがあげられます。特に「M&Aほか」は2022年に就任した経緯の16.4%となっており、2021年から0.7%増加し、今後もこの傾向は続くと考えられます。

近畿地方では特にM&Aコンサルティング会社や地元の金融機関が提携などで経営者とタッグを組み、事業承継のサポートすることでM&Aへの理解が進み、抵抗も徐々に下がってきていると考えられます。

近畿地方のM&Aの特徴

前述の通り近畿地方ではM&Aが積極的に行われてきています。大企業も数多く存在することから、その周辺の中小企業が規模拡大や技術力の補完、サプライチェーンの拡大などの目的でM&Aを行っています。

関東同様に、同地域内でのM&Aも多く行われていますが、大阪への進出・販路拡大を狙った他地域の企業のM&A、大阪から地方への拡大を狙った他地域の企業のM&Aなど地域外との企業とのM&Aも活発に行われています。

業種的には近畿地方の中心となっている製造業や卸・小売業、サービス業の中小企業のM&Aが多く見られています。特に、巨大メーカー・製造業企業の関連企業や電子部品企業など高い技術を持つ中小企業が数多く存在し、そのような企業のM&Aがよく見られます

また、京都では伝統工芸に関連する和菓子、飲食、繊維などの産業がその文化を守るという観点でM&Aを行う事例があるのも特徴となっています。

ただし、近畿地方は経済規模の大きい地域なので、建設業やヘルスケア関連、ITなども含め幅広い業種のM&Aが行われています。

近畿地方内でM&Aが注目されているエリアとしては、大阪府大阪市天王寺区、大阪府大阪市中央区、大阪府大阪市北区、京都府京都市などがあります。

近畿地方でおすすめのM&A仲介会社一覧

多くのM&A仲介会社が大阪に拠点を持っていますので、その中からおすすめの仲介会社を数社掲載します。

  • オンデック(大阪に本社のあるM&A仲介会社)
  • Buyside Bank(大阪に本社のあるM&A仲介会社)
  • M&Aコンサルティング

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参照:帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s230202_58.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s221202_58.html

中国・四国地方のM&A動向

中国・四国地方の特徴

中国地方は鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県の五県、四国地方は愛媛県、高知県、徳島県、香川県の四県で構成されています。

広島県と岡山県を除くと、全国的に中小企業の数が少ない県が多くなっています。

四国地方と中国地方は瀬戸内海を挟んで移動しやすく、経済交流も活発に行われています。産業としては製造業が強いエリアなっています。石油化学工業や機械、製鉄業、自動車工業、造船業などの企業が多いのが特徴です。また、豊かな自然を活かした農林水産業も盛んに行われています。また、四国地方では材料確保や運搬のしやすさなどの地域の特性から紙パルプも有力な産業となています。

中国・四国地方の中小企業の休業・廃業・解散

中国地方で2022年に休廃業・解散した企業は3,046社、四国地方で2022年に休廃業・解散した企業は1,510社ありました。県別に見ると、広島県が1,194件でトップで、岡山県の741件、山口県の561件がそれに続いています。四国地方では愛媛県が551件で最大になっています。

業種別は中国地方はデータがありませんが、四国地方では建設業、サービス業、小売業の順で大きくなっています

原材料やエネルギー価格などの値上げで費用負担が増加しており、後継者が不在の中、代表者が高齢化する中小企業では経営改善が見込めないと判断し、休廃業・解散を選択するケースや、先行きを見据えて体力のある健全企業が先行して事業をたたむ傾向があります。今後もこのような傾向は続いていくと考えられます。

中国・四国地方の中小企業の後継者不足

中国・四国地方でも後継者不在の課題は深刻化しています。2022年の全国の後継者不在率ランキングでは、島根県が75.1%で1位、鳥取県が71.5%で2位、山口県が65.3%で8位、愛媛県が62.1%で10位とトップ10の内4社も入っている状況です。

若い人が東京や大阪、福岡などに移住してしまい、高齢化が進んでいることが原因の一つとなっています。

中国地方の後継者不在率は62.5%で北海道に次いで後継者不在率が高い地域になっています。業種別にみると、建設業が最大でサービス業、小売業の順番で後継者不足率が高くなっています。また、売上規模別にみると、1億円未満の売上の企業の後継者不在率が72%と最も多くなっています。

事業承継・引継ぎ支援センターによるM&Aやビジネスマッチング、金融機関などの事業承継ファンドなど官民一体で事業承継のための様々な取り組みがされていますが、引き続き数が足りない状況です

中国・四国地方のM&Aの特徴

中国・四国地方では広島県や岡山県を中心にM&Aが行われてきていますが、他地域と比較するとM&Aや第三者への事業承継が進んでいない状況です。

業種的には中国・四国地方の中心となっている製造業や、後継者不足が最も多い建設業のM&Aが多く見られています。特に、自動車部品や造船・船舶の企業同士のM&Aがよく見られています。

これまではあまりM&Aを行う地域として見られてこなかった分、今後活発に行われるだろうと考えられており注目が集まっています

中国・四国地方内でM&Aが注目されているエリアとしては、広島県、岡山県、香川県などがあります。

中国・四国地方でおすすめのM&A仲介会社一覧

  • クレジオパートナーズ
  • 信金キャピタル
  • 日本M&Aセンター
  • CBパートナーズ
  • ストライク

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参照:帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s230102_71.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s230106_60.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s221202_60.html

九州地方のM&A動向

九州地方の特徴

九州地方は福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の8県で構成されています。

九州地方は人口や面積、各種建材指標などが全国で1割前後であることから、九州地方の経済規模は「1割経済」と呼ばれています。

福岡県の企業数は全国で10位以内ですが、福岡県を除くと全国的に中小企業の数が少ない県が多くなっています。九州地方の中では佐賀県が最も企業数の少ない県となっています。九州新幹線により、博多駅から鹿児島中央駅まで、九州の南北を約1時間20分で縦断できることなどから、福岡県に次いで熊本県、鹿児島県で企業数が多くなっています

九州地方では広大な土地や豊富なきれいな水などの自然を背景として、自動車関連業、バイオ・医療・コスメ・健康食品などのヘルスケア関連、半導体関連業、農林水産業が主な産業となります

九州地方の中小企業の休業・廃業・解散

九州地方で2022年に休廃業・解散した企業は4,855社ありました。過去5年では最終の企業数となっています。県別では福岡県が1,627件(構成比33.5%)で最多となっており、熊本県の586件(同12.1%)、鹿児島の532件(同11.0%)が続いており、中小企業の企業数と同じ並びとなっています

業種別では「建設業」(788件)が最も多く、「サービス業」(694件)、「小売業」(372件)が続いています

休廃業・解散した企業の代表者の平均年齢は70.5 歳で最高を更新した他、60代以上は86%となるなど、代表者の高齢化は大きな問題点になっています。代表者の高齢化が進む中、事業承継がスムーズに進まないことで休廃業・解散を余儀なくされる企業が増加しているようです。

業績回復も十分でない中、ゼロゼロ融資返済開始のピークは 2023 年夏頃とみられており、返済のための資金繰りに窮する中小企業が増えて2023年は更に休廃業・解散が増加する可能性も指摘されています。

九州地方の中小企業の後継者不足

九州地方でも後継者不在の課題の解決に向けて早急に動く必要があります。2022年の調査では2年連続で減少しているものの、引き続き九州地方の企業の57.2%が後継者不在としています

県別でみると沖縄県(67.7%)が全国5位でトップで、大分県(65.6%、全国8位)、福岡県(60.2%、全国18位)の3県で6割を超えています。一方、鹿児島県、佐賀県、熊本県、宮崎県では50%を切っており、県によってばらつきがある状況です。

業種別にみると2年連続で建設業(61.4%)が多く、その後にサービス業(61.2%)、小売業(60.8%)と続いています

また、社長年齢別の後継者不在率をみると60代以上で2021年対比2.5%~3.7%減少しており、国や自治体、地域の金融機関を中心に事業承継への働きかけが進み後継者問題に対する意識が高まっていることがわかります。また、事業承継、後継者問題の解決策の一つとしてM&Aに対する理解も進んでおり、2022年に事業承継された内の約15%がM&Aによるものになっています。

今後も継続してこのような取り組みを行っていくことが課題解決のためにも重要になります。

九州地方のM&Aの特徴

九州地方では福岡県中心にM&Aが行われてきていますが、他の県ではそこまで多くのM&Aが行われてきていない状況です。

九州地方の中小企業では他の地方の企業とのM&Aよりも、同県同士や福岡の会社とのM&Aというケースが多くなる傾向にあります。これは東京や大阪などからの距離的な観点もありますし、中小企業のオーナーにとって同業でのシェア拡大や拠点拡大を九州地方内でやりたいというニーズが多いのが背景にあります。

業種としては、建設業、サービス業、食品関連の小売業、製造業のM&Aが多くなる傾向にあります。これらの業種は後継者不在の率も高いので今後もM&Aの中心になると考えられます

新幹線沿線以外は交通の便もそこまで良いわけではなく、移動に時間もかかりますのでまだ多くの中小企業のオーナーにはM&Aの理解が浸透していない状況です。そのような点からも九州地方は今後活発にM&Aが行われるだろうと考えられており注目が集まっています。

九州地方内でM&Aが注目されているエリアとしては、福岡県福岡市博多区、沖縄県那覇市などがあります。

九州地方でおすすめのM&A仲介会社一覧

九州地方では九州地方内に強みを持つM&A仲介会社があります。そのような仲介会社は九州地方特有の知見もありますのでおすすめです。

  • ビザイン
  • forte one
  • ドーガン(FA)
  • 信金キャピタル

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まとめ

今回の記事では各地域におけるM&Aの特徴をまとめました。日本全体の問題でもあるのでどの地域も高齢化、後継者問題の課題を抱えています。

日本の特徴でもある歴史のある長寿企業を今後も継続していくためにM&Aも積極的に活用して課題を解決していければ良いなと考えていますM&Aであっても創業者やオーナーの意志は引き継がれていきますので、廃業・休業ではなくM&Aの道を一度検討することは全ての企業オーナーにとって重要になると考えています

日本全国でそれぞれの地域や会社に合った事業承継やM&Aの形がありますので、本記事がそれを探す一助になれば嬉しいです。

事業承継やM&Aでお悩みの際は是非一度お問い合わせください。

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著者情報
株式会社
M&Aインテリジェンス
会社名:
株式会社M&Aインテリジェンス

本社所在地:
東京都中央区日本橋茅場町

経営陣:
外資系投資銀行出身者や士業、AI・システム専門家のメンバー等で構成
事業承継・M&Aに関するご相談のある方へ